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取り残された本線
南海電車の住吉大社駅から大阪の中心部へ戻り、降りたのがこちら。岸里玉出駅です。
関西空港・和歌山方面へ向かう南海線と高野山方面へ向かう高野線の分岐駅です。難波からやってきた列車たちは、この駅でそれぞれの方面へ進んでいきます。が、正確にはこの駅は、秋葉原駅や新大阪駅のように、二つの路線が交差する駅なのです。こちらをご覧ください。
Wikipediaから拝借してきた南海電車の路線図であります。今いる岸里玉出駅で、青色の南海線と緑色の高野線が交差しており、高野線の大阪側の起点は汐見橋駅となっていますが、実際の運用では難波駅。これは、それぞれの線が元々は別会社であったことに由来しています。
高野線が現在の南海電車に合併されたことで、現在の路線網ができあがりましたが、大阪側のターミナルが二つになってしまいました。結局、南海は難波駅にターミナルとしての機能を集約、高野線も難波駅に向かいやすいよう線路が切り替えられ、高野線は二つの路線に分断されました。そのため、汐見橋駅~岸里玉出間の高野線が通称 汐見橋線という支線扱いにされてしまいました。悲しい凋落のストーリーであります。今回は汐見橋線を見ていきます。
ただ、面白いのは、支線でありながら設備は本線の名残を感じさせてくれる立派な設備が残っているところです。
2両の車両で、1時間に2本という大阪の中心部界隈を走る路線とは到底思えない廃れっぷりですが、ご覧のとおり複線電化されていて、風格を感じます。
ひっそり佇むターミナル
汐見橋駅に到着。
かつてのターミナル駅。行き止まりの駅からは「会社の顔を背負っているんだ」というような威厳を感じます。
停車中の南海2200系電車は2025年(令和7年)春の引退が発表されました。今後、汐見橋線が賑わいそうですね。
駅名標は綺麗になっていますが、その他の個所では時間が止まっているようです。
綺麗なパターンダイヤです。いかにも短距離の支線的な運用になっています。おそらく先ほどの一編成でのピストン輸送でしょう。
改札も良い雰囲気を醸しています。改札機と自動券売機だけが、タイムスリップしてきたような違和感があります。改札上の白塗りの壁には、かつて南海沿線を紹介する古びた案内板があり、今以上に往年の風格を感じることができたようです。
トキ薬局さんは現存するんでしょうか・・・
良いですねぇ。場末のターミナル駅って感じですし、利用者も少なく、雰囲気を存分に満喫することができます。とはいえ、
ご覧のとおりの好立地の駅だったりします。
大阪ドームもなんばも近いですし、大阪環状線の内側なのに、なぜかここだけ聖域のように時が止まっております。東京の山手線内じゃ考えられませんよね。でもそのギャップがとても良いものでした。大阪、病みつきになりそうです。
つづく
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