【関東日帰り】900円で楽しむ世界屈指の海運の要衝 | 東京湾フェリーのすすめ

関東

暑い・・・

夏に不完全燃焼感を覚えていた私が、動き出すのを太陽が待ってくれていたのでしょうか。2023年9月、下旬に差し掛かるこの日も関東は夏日を迎えていました。とはいえ、秋の訪れは突然やってきます。夏を補給するためにこのチャンスを逃すわけにはいきません。

夏といえば海。よし、東京湾を横断しよう。

前日に読んでいた『散歩の達人』の東京湾1周旅の特集記事が即決即断を後押ししてくれたのです。今回の主役は神奈川県 久里浜と千葉県 浜金谷を海上で結ぶ東京湾フェリーです。

出典:東京湾フェリー公式ホームページ

三浦半島の最果てへ

品川から赤い電車に揺られること60分、三浦半島の先端 久里浜へやってきました。

京急久里浜駅

京急久里浜を発車する1500形 特急 三崎口ゆき

到着前、車内放送がフェリーを使った房総方面への乗り換えをアナウンスしてくれます。彼の地への繋がりを感じる時、不思議な旅情を覚えるものです。

京急久里浜駅のWING

久里浜商店街

心なしか肌が痛むのは日差しが強いからでしょうか。
この暑さに耐え偲ぶように、駅前は落ち着いた雰囲気がありました。違和感を覚えたのは、街並みが地方都市のそれに似ているにもかかわらず、若い世代が多く見受けられることでしょうか。心なしか肌を出す子が多いのもまた”南国”へやってきた、そんな印象を受けます。

東京湾フェリー行き京急バス

京急久里浜駅2番のりば

フェリーターミナル行きのバスは駅前ロータリーの正面に待ち構えていました。このバス路線が京急にとっても重要な存在ということでしょうか。

終点東京湾フェリー

バスは7割ほどの乗車率で、ターミナルまではおよそ10分。。

久里浜港 東京湾フェリーターミナル

久里浜の郊外を楽しみながらやってきたのは東京湾フェリー 久里浜港のりばです。

久里浜港で車を吐き出すフェリー

ちょうど浜金谷からの便が到着したようで、港は大賑わい!
次から次へとフェリーから車両が吐き出されていきます。

中には大型バスやトラックなんかもあったりしますが、各車は案内の方に綺麗に捌かれていきます。なかなかの見ごたえです。

さてフェリーターミナル内に入ってみましょう。

久里浜フェリーターミナル窓口


施設は少し疲れているように見えます。90年代から大きな設備投資は進んでいないという印象です。1997年(平成9年)のアクアライン開通後、その経営は厳しく、直近の決算でも1億円近い赤字を計上しています。ただ、廃止となることなく、むしろ東京湾フェリーの料金は浜金谷までは900円というお値ごろなものとなっており、頭が上がりません。

いざ船旅

15時25分発、チケットを見せて乗船します。
客室に入る前にほのかに重油のニオイがしますが、船旅のアクセントと言えましょうか。個人的にはキライではありません。

しらはま丸の船内

船内に入ります。日曜の午後の千葉方面の便ということで、乗船率は3割ほどの混雑度です。線内にはご覧のような客室と、

しらはま丸の売店

しらはま丸のホットスナック
しらはま丸のお土産店

楽し気なスペースが!

幼少期にこれらのフード類を中々買ってもらえなかったのもあって、つい手が出てしまいます。この日はささみ大葉揚げを伴侶とすることにしました。

東京湾フェリーから眺める横須賀火力発電所

船旅は潮風を浴びるに限る!いざデッキへ参りましょう。
ちょうどそのころ出港となりました。三浦半島、さらには横須賀火力発電所に見送られ、対岸の浜金谷を目指していきます。40分という短い船旅ですが、見どころ満載なのが東京湾フェリーの魅力ではないでしょうか。

東京湾フェリーの最上階デッキ

東京湾フェリーのグリーン室

最上部には貸し切り専用のグリーン個室も。

海獺島灯台

まず最初の見どころはこちらの海獺(あしか)島灯台。明治中頃までは二ホンアシカが見られた(!)らしく、灯台の方もまた1916年(大正5年)竣工の古参です。左手の岩礁には、波風を観測するアシカ島海象観測ステーションなる建物がありましたが、近年取り壊しとなってしまったのだとか。残念。

久里浜が遠ざかり、灯台を超えたあたりからは、船旅の主役が行き交う船舶になるでしょう。東京湾フェリーが行き交う海域は浦賀水道と呼ばれる世界有数の海上交通の要衝です。貨物船、漁船、さらには軍艦と多様な船舶がお出迎えしてくれて、普段触れることの少ない海の日常に触れられるのが、東京湾フェリーの最大の見どころではないでしょうか。

と、楽しんでいるうちに、

離合するかなや丸

浜金谷からやってきたフェリーと離合。嬉しい瞬間です。
休日午後の便は房総でゴルフを終えた方の帰りの足としての需要が大きいようです。

かなや丸と横須賀火力発電所

東京湾をいくSEASPAN FALCON

続いてやってきたのは香港籍の超大型コンテナ船 SEASPAN FALCON。小型船に先導させ、ゆっくりと進む様子に威厳を感じます。
その高さは4階建てフェリーの数倍はありましょうか。この躯体で最大約12,000個ものコンテナを積むことができるのだそう。

海が荒れてもコンテナたちは崩れないものなのでしょうか。日常を支えてくれる物資たちが長旅の最後を迎えていました。と、その横を、

SEASPAN FALCONを追いぬく東海汽船のジェットフォイル

伊豆諸島からやってきたジェットフォイルが高速で通過。巨体のコンテナ船をあざ笑うような速さで、

駆けてゆきます。東京は竹芝までもう少しです。

そんな高速船に憧れたのか終盤、ウミネコさんが伴走してくれました。風に乗り上下左右の気分のままに踊るように飛ぶ姿で我々を楽しませてくれます。

東京湾フェリーでウミネコに餌付けするファミリー

そして、、

釣り船の高梨丸

晩秋の西日に照らされた浜金谷港が見えてきました。工業的な港の雰囲気だった久里浜と比べ、住民の暮らしに根付いた漁港のような雰囲気です。

浜金谷港の岸壁

磯焼き香る浜金谷

浜金谷港のお土産屋

浜金谷港フェリー乗り場

16時5分、浜金谷港フェリー乗り場に到着です!
久里浜港と比べると観光地らしい楽し気な雰囲気。久里浜に向かう人々が待機されておりました。

フェリーに乗り込む二輪車

ライダーの皆さんも続々と。19時過ぎまで1時間に1便ペースでフェリーは発着していくのでありました。

マルヨ商店 フェリー前支店

楽し気な浜金谷港前。どこからとなく、悪魔的な磯焼きの香りがしてきます。呑んべの方には堪らんでしょう。アジフライも名物のようですが、今回は時間の都合でごめんなさい。

東日本旅客鉄道内房線の浜金谷駅

漁港らしい落ち着いた集落の中を歩くこと10分。JR内房線の浜金谷駅に到着です。
駅前はこじんまりしていますが、釣りえさ屋さんがあったり、

浜金谷駅から眺める鋸山

名勝 鋸山を望めたりと、旅の終わりが名残惜しくなるような場所になっています。
鋸山は石材の採掘で賑わった場所で、採取された石材は対岸の横須賀軍港や横浜の湾港整備に使われました。戦前から今に至る東京湾を通じた交流をぜひ感じてみてください。

東京湾口道路と内房線の複線化を規模する看板

あと30年早ければもしかしたら・・・という看板を横目に帰路につきます。

駅の跨線橋はオーシャンビュー。

浜金谷駅に到着する新宿さざなみ号

16時25分、新宿さざなみに乗って帰路へ。普段は憂鬱に映る連休最終日の夕陽も、この日は明るく輝いて見えたのでありました。

新宿さざなみから眺める東京湾の車窓

おしまい

今回の大まかなルートイメージ

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