碓氷峠 廃線ウォークを上下線堪能してきたpart1~準備編~

関東

廃線に惹かれ

人の趣味・嗜好はどういった要因で形成されるのでしょうか。
この疑問は私の中で答えが出ていません。ある車好きの知人に聞いてみても

「分からん。小さい頃からミニカーを握りしめていたらしいからなぁ」

ということで答えは出ませんでした。先天的に刻まれたものなのか、はたまた意識が芽生える以前の強烈な経験によるものなのでしょうか。
ただ、鉄道と歴史好きの私の中には1つ、鮮烈に残る記憶があります。それは、幼少期、鉄道の写真集で見かけた

信越本線の特急あさまを牽引するEF63の姿です。

2004年8月 横川駅にて

正面には、「ありがとう・さようなら碓氷線」とありました。

行きつけの赤羽にあった踏切(高架化で廃止されましたが)で、通勤列車に紛れ、鮮やかな車体を高速で走りゆくあさまはスターでした。

2006年ごろまで横川駅で名コンビを拝むことができた

そんなあさまが、国内随一の難所を特殊な機関車の随伴で越えているというのですら、小さな憧れはより大きくなります。しかし、同時にその難所は廃線となり、あさま自体も新幹線に置き換えられたことも知りました。

写真にある光景はもうない。多くの人を乗せた長大な編成、きっと機関車を動かすのも大変だろう、その苦労も、そして踏切での心のときめきも。

その時失われたものが、私の何かに深く突き刺されました。今も抜けることはありません。

めがね橋は信越線の旧線の象徴

こうした経験から、信越本線の横川・軽井沢間は、現役当時に訪れたわけでもないのですが、何かと意識される場所となりました。そして、今回、筆を執るに至ったのは、この廃線区間を実際に歩くことができるツアーが開催されているという記事を新聞で見かけ、実際に参加してしまったからなのです。自らの性格形成に影響を与えた碓氷峠

碓氷峠位置

関東と日本海・北陸方面の中間点に位置する碓氷峠(国土地理院標準地図を用いて筆者作成)

実際に歩き、見たもの、感じたものを、これから参加する皆さんにご紹介していきたいと思います。今回は、その準備編。実際にツアーに参加した際の様子は改めて紹介いたします。

廃線ウォークとは

廃線ウォーク、横川・軽井沢間の廃線区間を所有する安中市の観光協会が主催するツアーです。

廃線ウォーク
【廃線ウォーク】1997年に廃線となった群馬県 横川駅〜長野県 軽井沢駅間を歩く| 峠の文教都市安中 一般社団法人安中市観光機構

今回、何を思ったか、このツアーの上下線いずれのコースも参加してしまった私がご紹介したいと思います。何よりの魅力は、
このツアーでしか立ち入ることのできない
信越本線新線の峠の湯付近・軽井沢の区間を歩くことができる
点です。

軽井沢側トンネル出口

コース

  1. 上り線(峠を下る)軽井沢 9:00発→熊の平→峠の湯 15:30着
  2. 下り線(峠を下る)横川 11:10発→峠の湯→熊の平→軽井沢 17:00着

費用

6,500円(昼食・保険料込)

ルート図

ややこしいので図説

まずは、いわゆる横軽区間を概観してみましょう。

全体像。黒字は標高(国土地理院標準地図を用いて筆者作成)

概略図

横軽には、最大3本の廃線があります。

① 開業当時アプト式を用いていた旧線
② アプト式廃止後の新線上り線そして
③ 旧線の一部を改修した新線下り線

が上図のように走っています。このうち

アプトの道区間

一部はアプトの道という遊歩道として整備されており、これまでも誰でも歩くことができました。また、横川駅・峠の湯間の新線下り線(旧線)は、トロッコ列車「シェルパ君」運行されています。そして、これら以外の区間は、通常立入禁止ですが、この廃線ウォークに参加すると、その区間を歩くことができるのです。

参加を検討している方

6,500円と1日をかけて参加すべきか否か・・・悩んだ末、このページに辿りついた方もいらっしゃるかと思います。なので、このツアーに参加してみて私が得られたものを参考程度に紹介しますと

  • 峠を越えた達成感(何より)
  • 66.7‰というピンとこない勾配の厳しさを身を持って知れる
  • ほぼ現役のレール上やトンネル内を歩ける面白さ
  • ツアー踏破後の湯船の快感
  • 観光協会の方の人柄

この辺りにビビッと来る方であれば是非とも参加してみてもらいたいツアーです。

参加を決めたけど色々不安な方

いざ申し込んだものの

「準備はどうしたらいいんだ!」

という方のために

上り線ツアー申込後に届いた予約表を参考に

① 服装は?

私(28歳男)が参加した際の天候と服装は以下のとおりでした。

上り線 2月 晴 気温10℃ ほぼ風なし

■上半身 厚手のフリース、ニットとヒートテック
※ 集合時はマウンテンパーカーも着ておりましたが、歩いているうちに暑くなり脱いでしまいました。
■下半身 通常の長ズボンとヒートテック

冬の穏やかな気候な日だった

下り線 3月 雨 20℃ やや風あり

■上半身 マウンテンパーカー、通常のパーカー、ヒートテック
■下半身 ジーンズ、レインウェア
※ リュックと靴は防水カバー着用

この格好であれば、脱ぎ着することで、汗まみれになることも凍えることもありませんでした。靴は、履き慣れた運動靴で問題ないです。

一転、春の嵐

傘の方もチラホラ

② 持ち物は?

  • ヘルメット
    → 借りました。
  • ライト
    → ヘッドライトの持参をおススメします。手に持つタイプのライトは煩わしくなります。また、持参する際も、電池切れすると楽しみが半減するので、気をつけましょう。レンタルライトは手持ち式ですが、上下線とも熊ノ平で交換してくれていました。
  • おやつ・飲み物
    → 道中は峠の湯でしか購入できません。終盤の活力を左右します。
  • マスク
    → トンネル内は埃が舞うこともあるので持参をおススメします。

必携なものはこんなところ。そのほか必要に応じて、カメラタオル(温泉も考えて)、手袋カイロあたりがあれば大丈夫でしょう。

③ 気になるところに答えます

Q. 参加者の年齢層は?浮かない?
若い男性のグループが多い印象です。他には、シニア世代の男女、ハイカー。個人参加の方も多かったです。幅広い世代がいらっしゃるのと、各々が楽しむスタイルの自由度があるツアーなので浮くということはない雰囲気です。

Q. 上りと下りどちらがおすすめ?
甲乙つけがたいところもありますが、やはり下り線
勾配を登っていく方でしょうか。思い立った良し悪しをまとめておくので、ご参考ください。

Q. お手洗いはどうなの?
道中にあるのは熊ノ平駅の仮設のものと峠の湯内のものだけです。
事前にからだを軽くして臨みましょう。

Q. 食事はどうするの?
上り線:熊の平駅 下り線:峠の湯
で、釜めしを食べます。峠の湯では、折りたたみの椅子を貸してもらえるので、食べるところに困ることはありません。

と!ここまで読み進んでしまったあなた!

おそらく背中を押されるのを待っているのではないでしょうか笑
悩むくらいならとりあえず参加しちゃいましょう!

廃線ウォーク
【廃線ウォーク】1997年に廃線となった群馬県 横川駅〜長野県 軽井沢駅間を歩く| 峠の文教都市安中 一般社団法人安中市観光機構

では、そんな風にして決意をした私が、実際に参加した際の様子を次回以降お届けしていきましょう。以下にまとめておきますので、気になる区間を参考にしてください。

下り線 軽井沢方面 記事まとめ

1.横川⇒峠の湯
碓氷峠 廃線ウォークを上下線堪能してきたpart2 横川⇒峠の湯
霞む横川に降り立つ 本日は2021年3月21日。前日の天気予報ではツアーに参加する翌日は大荒れ それでも対策すればなんとかなる。そんな厳しいステージが用意され、余計に冒険心をくすぐられてしまったわたくしは予定どおり、彼の...
2.峠の湯⇒新碓氷川橋梁
碓氷峠 廃線ウォークを上下線堪能してきたpart3 峠の湯⇒新碓氷川橋梁
横川・峠の湯間はこちら 13:10 ウォーキング開始 柵を越え、いよいよ未踏の横軽へ踏み入ります。この立入許可を得るためにここまでやってきたのです。 現在地は★あたり まずは、第一の見どころ、めがね橋に並んで架けられてい...
3.新碓氷川橋梁⇒熊ノ平
碓氷峠 廃線ウォークを上下線堪能してきたpart4 新碓氷川橋梁⇒熊ノ平信号場
峠の湯・新碓氷川橋梁間はこちら 14:10 靄の新碓氷川橋梁へ 場所は、こちら★ 横軽区間の中間地点に近づいてきました。 やはり眺めが開けるとテンションは上がりますね。 靄がかり、乙な雰囲気です。 ツアー参加前は、雨天予...
4.熊ノ平⇒軽井沢
碓氷峠 廃線ウォークを上下線堪能してきたpart5 熊ノ平信号場⇒軽井沢
新碓氷川橋梁・熊ノ平間はこちら 15:20 熊ノ平発 第4トンネルへ 熊ノ平から群馬・長野県境に向け、再び歩き始めます。まずは全長117.9mの第4トンネルへ 現在地はこちら 軽井沢までのトンネル数は、下り線15本に対し...

上り線 東京方面 記事まとめ

4.軽井沢⇒熊ノ平
碓氷峠 廃線ウォークを上下線堪能してきたpart6 軽井沢⇒熊ノ平信号場
では、最後に上り線ツアーに参加した際の様子をご紹介しましょう。 碓氷峠の詳細な説明は、part1~5の下り線ツアーの方で紹介しましたので、こちらは鉄道好きというより ちょっと変わったハイキングに出かけてみたい と思われて...
5.熊ノ平⇒峠の湯
碓氷峠 廃線ウォークを上下線堪能してきたpart7 熊ノ平信号場⇒峠の湯
軽井沢・熊ノ平信号場はこちら 12:40 熊ノ平信号場を出発 釜めしを食べ終えた一行は再び歩き始めます。 この先では どこへ向かえば良いんだ笑 横川方面へ向かう旧線本線が、アプトの道遊歩道として一般開放されています。 峠...

廃線から四半世紀

つづく!!

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