稚内駅 真冬の最北端の駅へゆく-北海道縦断part1/5

北海道

旅の真髄は準備にあり?

冬という季節は何をするにもやる気が出ない。仕事が終われば外は真っ暗。冷たい風が吹きすさぶ中、家に帰ればもう外に出る気がしないのです。

かくして、屋内で外出気分を味わおうと宮脇俊三最長片道切符の旅』を読み始めたのがことのはじまり。同書が私を寒空の下、北の大地へ誘うことになりました。車窓を切り取ったような表現は、北の大地の銀世界を魅力的に魅せるわけです。それまで目にしたことがなかった本物の雪景色を拝むべく、気づけばgoogleを前に旅の手配をはじめていたのでありました。


とにかく凍えてみる二泊三日の旅

本旅の目的と行程は以下のとおりです。

  1. 銀世界を貫く長大ローカル線を堪能する
  2. 徹底的に寒さを経験すべく最果て 宗谷岬と網走で流氷を目撃する
  3. 道東のアイドル 熊さん・・・は危ないのでタンチョウヅルを拝む

===1日目===
・羽田から空路で稚内へ
・宗谷岬を訪問
・稚内観光し、一泊

===2日目===
・稚内から宗谷本線で旭川、同地を経由し石北本線で網走へ
・流氷を観光
・網走から再び鉄路。釧網線で釧路へ向かい、一泊

===3日目===
・阿寒湖でタンチョウ観察
・釧路から空路で帰京

ネックになったのが稚内へのアプローチです。往復路とも陸路にすると時間がかかりすぎて×です。
ならば、往復路いずれかを空路で検討するわけですが、羽田・稚内間の便は1日1往復のみな上、ダイヤもこのとおり、存分に楽しむためにはイマイチな時間設定なのであります。

羽田 10:45→稚内 12:40
稚内 13:15→羽田 15:15 (2017年2月現在)

ただ、諸々の検討の結果、往路に空路での稚内入りを決めました。最終的な行程は以下のイメージです。


しかし、まだまだ本行程には障壁があります。

1. 鉄道の本数がとにかく少ない
北海道の鉄道は本数が異様に少ない。
効率よく乗り継げる列車の組み合わせは非常に限られます。特に今回のルートを巡れる列車の組み合わせは、始発列車に始まり終電車で終わる1通りしかありません。つまり列車の遅延、乗り過ごしが許されない旅となります。

2. 稚内空港へ向かう便の欠航のおそれ
この世界には誰が統計を取ったのか知らないが空港別欠航率ランキングなるものが存在し、稚内空港はタイトルホルダーで、

全国ワースト第2位

冬季には、約30%の便が欠航になるそうです。(ちなみに1位は青森空港だ)
その上、羽田からの直行便は1日 1便のみなわけで、つまるところ入念に計画を立てたところで、当日、しょっぱなから旅行終了という可能性が大いにあるということであるわけです。と、つらつら書いたものの動かねば何も始まらんぞ!

ということで友人に

「無謀な旅へ挑戦してくる

と、フラグを立てるような言付けをして、旅行当日を迎えたのでありました。

はじまりはジェットコースターロマンス

東京は晴天。期待に胸を膨らませ、当日を迎えました。旅を盛り上げてくれるのは、

ジェットコースターのような躍動感で走る東京モノレール

東京モノレール。非日常な空中旅が旅のウキウキ感を盛り上げてくれます。

空港近くで地下へ潜っていく高架橋

運河の上を走るため景色もなかなかのもの。遠くにはアクアラインの風の塔も見えます。

羽田空港第2ターミナル

羽田空港第2ターミナル

空港とうちゃーく!

チェックインを済ませ、懸念していた稚内行きの出発状況の確認へ向かうと、

この瞬間は普段なら胸ときめくが

「雪のため千歳空港に向かうか引き返す可能性があります」

やはりか・・・ただこの状況で欠航が決まっていないだけでも幸運なのかもしれない。。地に足がつかないまま、荷物検査を済ませ、搭乗口へ向かいます。

羽田空港ANA機

素敵なお尻

「北海道上空で折り返すことになったら長い空の旅になるな」

「でも仮に札幌観光ができたらそれも楽しいか」

「でもでも 稚内に無事到着できれば喜びは一塩だろうなぁ」

などと、一人で不思議な胸の高鳴りを味わっているうち、気づけば離陸の時間。

冬の日差しに輝く東京湾

いざいざ!

河川が丘陵・森林を侵食してきたのが分かる

霞ヶ浦上空を通過

東北に入ると・・・

雪が現れはじめ、白と青の美しいコントラストが楽しませてくれます。
旅情を覚えると同時に、増えはじめた雲を見て不安も高まっていきます。さてさてどうなるか。

機体は北海道上空へ突入。あとは新千歳か、稚内かという状況になってきました・・・

行けるか!!??

稚内空港手前の車窓

果たして・・・

最北端の駅

宗谷本線稚内駅

というわけで、30%の欠航にお不安を吹き飛ばし無事に到着!!大きく揺れることも、遅れることもなく、全日空の方々に感謝感謝しかありません。空港からバスを乗り継いで、最北端の駅 稚内 へやってまいりました。

近年リニューアルがされ、映画館や商業施設さらにはバスターミナルとしての役割をもつ街の拠点に生まれ変わっています。リニューアル前、昔の最果ての駅らしい鄙びた雰囲気

Wakkanai station01.jpg
CC 表示-継承 3.0, リンクによる

も恋しいところでしたが、当地を初めて訪れる観光客として「ここに来ればなんとかなるだろう」と安心できる拠点に変貌しましたので、それはそれで地域振興観点では素晴らしい取り組みではないでしょうか。

あの鐘を鳴らすのは?

駅の中には、素敵なモニュメントがあったり、

北海道らしい面々

お土産を選んだりもできます。その中でも印象的だったのがこちらのスペース。

日常にある領土問題

2月7日は北方領土の日

2月7日は北方領土の日

歴史の教科書に収まらない

普段はニュースや教科書でしか見かけない北方領土問題も、稚内まで来るとよりリアルに感じられる気がします。
海の向こう、目の間には樺太があるわけですから。

最北端の線路

最果てで途切れる線路

そしてやはり鉄道と向き合わないわけにはいきません。なんたってここは最北端の駅。
こちらの「最北端の線路」看板はリニューアル前から存在している。

Wakkanai Station board.jpg
CC 表示-継承 3.0, リンクによる

稚内駅の時刻表

全ての列車が南へ向かう

1日 7往復

時刻表を見て、改めて最果てに来たことを思い知るのでありました。宗谷本線は翌日存分に楽しむ予定なので、この辺にしておき稚内駅からさらに進み、本当の最果て 宗谷岬へ向かうことにしましょう。と、その前に腹ごしらえ

稚内駅のセイコーマート

みんな大好き

道民の生活を支え熱狂的なファンを持つ、セコマことセイコーマート。こちらも稚内駅の一施設であります。

破格のお弁当たち

愛される理由の一つにはこの安さでしょう。
手作りのホットスナックなど多様な食事達が楽しませてくれます。寒空の下、パスタをすすりながら、最果て行きのバスを待つのでありました。

つづく

白銀の宗谷岬 | 樺太の面影を求めてバスに乗り込む-北海道縦断part2/6
前回はこちら 稚内から宗谷岬へ セイコーマートで力を蓄えた後、宗谷岬をめざす。岬までは30㎞近くとそこそこ距離がそこそこあるためバスで向かうことにする。最北の駅とはいえ日本の最北の地へは、さらに北へ向かわねばならない。...

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