大井川鐡道 尾盛駅 | 駅とはなんのためにあるのか。何もないよう何かある秘境駅

大井川鉄道尾盛駅 東海・甲信越

前回はこちら

大井川鉄道 井川線 | アプト式区間のすすめと秘境駅の魅力
大井川鐵道の旅に出発。金谷から乗り継ぎ、井川線のアプト式区間に挑戦。急勾配を登りつめ、長島ダム駅に到着。車掌氏の手厚い対応に心温まる。秘境駅への旅の第一部。​

※2018年12月撮影

秘境駅とはどんなもんだ

大井川鉄道 井川線 尾盛駅に到着

千頭から80分。秘境駅にやって来た。

大井川鉄道 井川線 尾盛駅名標

次駅と合わせると尾盛 閑蔵

いぶし銀の俳優のような名前である。

大井川鉄道 井川線の尾盛駅構内

広い構内を持つ尾盛駅

金谷駅から約二時間半。世には誰が作ったのか知らないが秘境駅ランキングなるものがあり、この駅は栄えある第二位に輝いている。というのも、周辺には人の営みがない上に、外界に通じる道が一本もないという徹底ぶり。

つまり、ホームに降りるためだけに存在する駅であり、駅とはなんのために存在するのか、そもそも駅とはなんなのか、なんのために人は駅で降りるのか。。。

駅、お前はなぜ生まれたのか・・と駅という存在と存分に向き合うことができる場所でもある。また、近年では熊や野犬の目撃情報もある自然が人の営みに勝る場所とも言えるかもしれない。と、まぁ大仰に綴ってはみたが、得てして「秘境」で有名な場所は、それを目指してくる私のような物好きがいるわけで、今回も私ともう一人尾盛駅で下車したわけであった。

山中に自分ただ一人だけ

そんな環境に身を置きたかったであろうその方に申し訳ないと思いつつも、それは私も同じなので気にするのはやめることにしよう。

大井川鉄道 井川線 尾盛駅構内を上り方面

廃線のような雰囲気

見ての通り「なにもない」のだ。

本駅も元をたどれば建設作業員が使用する寝泊まりのためであったり、ダム建設の見返りのためであったりと、様々な情報もあるが、なぜ設置されたのかは判然としない。しかし、分からない目的のために、この駅がその役割を果たしていたであろう頃の面影は。

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の廃屋

構内の廃屋

ご覧のとおり感じることができる。この構内で食事を作り、寝泊まりし、働いていた人間がいて、そこに生活があったのだ。

その点では「なにかある」駅。ないとあるの境界は、受け取る人によって大きく変わりうると思うのであった。

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の廃屋内

建物内は散らかっていた

散らばる生活感。比較的新しそうだが、小屋の廃れ方は凄まじい。

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の飯場跡

ここで食事の準備でもしたのだろうか

炊事場の跡?

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の廃墟

謎の石材

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の風呂跡

雑草に埋もれる大きな窪み

浴場だろうか。数人は入れる大きさ

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の炊事場跡

これも釜戸跡か

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の風呂場跡2

至る所に残る生活

なんらかの建物の内部だったのだろうか・・

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の廃小屋

倉庫?

と、踊る胸のままに分け入っていくと、どこからともなく低い呻き声のようなものが聞こえた。ような気がした。。。。。

そんなはずは・・・

と言い聞かせる間もなくまた声が。しかも頻度を増してより近づいてきている気がする・・・自分の心理状態ゆえに聞こえてしまうものなのか、はたまた「何か」が近くにいるのか。分からないが万全を期し、急ぎ足でホームへ戻ることにする。

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の待合室内

駅待合室

駅に実はもう一つ、こちらは今も活躍している倉庫がある。

待合室ではなく倉庫。倉庫の中には最低限の机といすなんかがある。最近まで中に入ることができなかったが、熊の目撃情報以来、開錠して待合室として利用できるようになったとか。あくまで物を入れる場所である。我々人間は入れていただいている立場なので、大人しく・・

大井川鉄道 井川線 尾盛駅の待合室内の電話

電話は自然かつ不自然にそこに置かれていた

トゥルルルルルルルルル

 

ギャあアああああああああアアア!

 

心臓って本当に飛び跳ねるのだ。鉄道員の内線だろうか、スピーカーを通して専門用語が飛び交う。まさか現役の電話だなんて思わなかった・・・そんなこんなしている間に先ほどの列車が終点閑蔵で折り返して、再び尾盛駅に到着。

大井川鉄道 井川線 尾盛駅に入線する上り列車

11:57 尾盛発

乗り込むとともに安堵している自分に気づいた。秘境駅で聞いた何かの呻き声と無人の倉庫に鳴り響くコール音。20分という短い滞在であり、近くにもう一人いたとはいえ、無意識に恐怖を覚えている自分がいた。非常に貴重な秘境経験ができた気がする。

つづく

【秘境駅】大井川鉄道 奥大井湖上駅 | 湖に浮かぶ駅から徒歩で向かうは絶景スポット
前回はこちら ※2018年12月撮影 湖上に浮かぶ駅 第3の目的 奥大井湖上駅は尾盛から15分ほど。12:11に到着 映えるスポットとして、線内随一の乗降客数があり外国の旅行客なんかも多いようだ。位置はこのような場所だ。...

アクセス

コメント

タイトルとURLをコピーしました