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本日、2020年3月2日は旅程の最終日。目指すは今回の旅の目的でもある旧国鉄士幌線のタウシュベツ橋梁でございます。
道民の生活を支えるセイコーマートで朝食を済ませ、バスターミナルに向かいます。いざ!
と、その前に今回のタウシュベツ橋梁ツアーの段取りを振り返っておきます。
タウシュベツに行く前に
① ツアーを予約する
ネット上で空き状況が確認できますので、まずは参加日を決めてNPOひがし大雪自然ガイドセンターで予約しましょう。申込みは、電話かメールで受付けておりますよ。
ツアーに申し込まずとも見学は可能ですが、タウシュベツのあるエリアは電波は飛ばず、夏にはヒグマが出没し、冬には湖上の氷を突き破ってしまう可能性がある危険な場所でもあります。
ツアーに参加するのがベターでしょう。
② 交通手段を確保する
タウシュベツまでは帯広から70㎞近くあります。レンタカーを借りるか、バスの時刻に合わせて旅程を汲んでいきましょう
そして、私と同じように、十勝バスを使って日帰りするとなると、ダイヤの都合上、選択肢は一つのみ。
往路:帯広 7:10→ぬかびら郷営業所 8:53
復路:ぬかびら営業所 16:45→帯広駅 18:30
つまり1日がかりです。みなさま、覚悟ください。
ちなみにこの方法で行く場合、ツアーと往復のバス代、さらに温泉入浴がセットになった湖上ハイキング ゆったり温泉パックがあるので、事前に十勝バスで予約しておくのが良いでしょう。
③ 準備は整いました!ではいきましょう
と、ツアーの回し者のようになってしまいましたが笑
私を踏み台にして、みなさま素敵な旅をご検討くださいまし。
ではでは、本題に戻り、実際の様子をご紹介いたしますぞ。
7:10 帯広駅前バスターミナルにて
こちらで予約していたパック券を受け取ります。少しでも布団にくるまっていたかった私は、前日の受け取りを試みましたが、当日のみOKとのこと。みなさま早起きしましょうね。
音更(おとふけ)、士幌、そして糠平と旧士幌線をなぞる様なルートでぬかびら温泉郷に向かいます。
バイオディーゼル燃料としてリサイクルするのだとか。家庭に寄り添った感じが良いですなぁ。
乗車したバスは道中、ご覧のように・・・
113停留所を1時間43分かけて走破していきます。ぶったまげた。
長旅ですな。道中の主要集落である、音更や士幌を過ぎたころから、
牧草地帯でしょうか、それとも畑作地帯。夏に来たら答え合わせができますでしょうか。
このような風景の中を延々と行き、時たま小さな集落に寄っていきます。地図をみれば白地になっている場所でも、こうして人の営みがあるのだと感じます。
そして到着の10分ほど前になってきますと、
ここまでくると人家は皆無。と、
!!!!!!!
突如現れた人工物。そして中央部が欠落している姿がまた目を引きます。こちらは旧士幌線旧線の第4音更川橋梁。欠落した部分にはガーター橋があったそうですが、リサイクル可能な金属の部分のみ回収され、再利用ができないコンクリート橋部分は残されたようです。
旧士幌線の「旧線」としたのは、この先にある糠平ダムの建設に当たって士幌線が付け替えられたためです。
地図でマーカーでなぞられているのが旧士幌線の旧線。
そして湖を避けるように湖の左岸に白黒線で描かれているのが旧士幌線の新線です。
旧線は1939年に建設されたものの、1955年には新線に切り替えられ、その新線は1987年に廃止となりました。ですから、新旧線共にわずか20年前後でその役目を終えた悲運の路線です。
これから訪れるタウシュベツは旧線上に存在していました。約70年に渡ってダム湖に沈み浮かびを繰り返してきたというわけで、その歴史も噛み締めていきたいと思います。
糠平ダムを右窓に眺めつつ、長いトンネルを抜けていくバス。そのトンネルを抜けるといよいよそこは、、
8:53 十勝バスぬがびら営業所へ
やってきましたぬかびら源泉郷!
ここがタウシュベツ見学の拠点となります。降車するとガイドの方がお出迎え。車に乗せてもらいガイドセンターへ向かいます。
こちらで防寒着に着替えたり、お借りするストックの長さの調整をしたりとツアーの下準備をします。レンタルのウェアや靴もこちらで受け取ります。また、荷物は預かっていただけますしお手洗いもあるのでご安心を。
本日のツアー参加者は、私を含めた男性 3名。普段であれば平日でも二十数名は集まるという人気のツアーなのですが、今般のコロナの広がりでキャンセルが相次いでしまったのだとか。それでも、かき入れ時は越えていたので、収入的にはぎりぎりセーフだったようです。
準備を終えた一行は、ガイド氏の車に乗り込み、散策開始地点に向かいます。いよいよツアーがはじまります。
9:45 いざ雪上ハイキングへ
ここからは自らの足でタウシュベツを目指すことになります。早速装備を調えます。
レンタルウェアにありがちな「誰が選ぶんだこんな色」のパンツ。テンションを下げていると、それを予想していたかのようにガイド氏、
この辺りはヒグマの巣ですが、それを虎視眈々と狙う猟師の方もいます。
ただ、猟師の高齢化が進んでまして、黒っぽい服を着た方が、熊に間違われ誤射される事案もたびたび起きていますから。。。
オーマイガー、ガイド氏・・・
森の中を駆けていたんですな。1955年に開通した士幌線新線は1987年に廃線となっています。ただ、1978年に末端区間の糠平~十勝三股は、廃線に先立ち利用者減のため代行バスによって運行されていました。そのためこの場所に列車が走っていたのはものの20年程度ということになります。
これらはいずれも動物の仕業なのだとか。手前の木はアカゲラが、そして奥はキツツキによるもので、いずれも木の中にいるアリなどの虫を食べようとして、このようなことになるんだそうです。
キツツキは、かつて害鳥と捉えられることがありましたが、実は森の新陳代謝を活性化してくれるんですね。
10:06 雪の砂漠へ
一面の銀世界にぽつんとそびえるアーチ橋。自身の視覚で捉えたわけですが、それが現実の風景とは思えない不思議な感覚に襲われます。
ダムができる前は、この地で緑の枝を揺らしていたことでしょう。ダムに沈んだ事物に哀愁を感じてしまいます。
10:40 幻の11連アーチ橋
写真では分かりにくいのですが、高さは10m近くあります。
森を抜け、雪のウォーキングは終了。車で、ツアーセンターに戻ります。
新線の三の沢橋梁です。
ただ、帰りのバスは16:45。予想はしていたとはいえ、時間があります。ガイド氏によれば、タウシュベツツアーに参加したものの、時間を持て余し、若者がぬかびら中を徘徊する姿はよく見られる光景になっているそうで
ぬかびら源泉郷を探検
まずは、メインストリートにあるぬかびら源泉郷郵便局
国内唯一?の手湯を備えた郵便局だそう。ここで暖を・・・と思いましたが、枯れておりました。凍結防止かな
暖炉でもあるのでしょうか。地元の方にとっては日常の風景なのでしょうが、旅人にとっては生活が感じられる嬉しい眺めです。
とはいえ、スマホと距離を置き、自然と向き合う時間も悪くはないですよ。続いて
旧士幌駅跡にある資料館。士幌線の歴史や実際に使われていた品々を見ることができます。が、
11~3月は冬季休業
ちーーーん
実はガイド氏から教えてもらってはいたのですが、前日までの計画ではこの場所で時間を使うつもりだったのです。徘徊者はこうして生み出されているのかもしれません。
糠平の集落から若干離れた場所に資料館、そして駅があったことが分かります。こんな不便な場所にどうして駅を設けたんでしょうかねぇ。
往年の糠平駅の映像を見ても、街外れ感は当時からあり、はてはて。にしてもこの動画も貴重な資料です。YOUTUBE偉大。
資料館から先述の三の沢橋梁近くまでの廃線跡は遊歩道として整備されていて、存分に鉄分を摂取することができます。ちょっと行ってみます。
ルンルンで歩を進めますが足元は雪だらけ。遊歩道という優しげな名前は、雪の前に悲しく響きます。靴下もビショビショに。それでも先を目指すのは、
アーチ橋群と共にある街
街の裏手、木々に守られるようにひっそり佇む3連アーチ橋。コンクリート橋ですが、無機質というより優美な印象を受けます。往年のタウシュベツもこんな風貌だったんでしょうね。橋梁上を越えていくと、
遊歩道はトンネルを避け、先ほどのツアー開始地点の方角へ向かっていますが、厚い雪に覆われており、掻き分けていく必要があります。
ただ、濡れた足元がそろそろ限界。ここにて徘徊を終え、十勝バスのパックツアーに組み込まれていた日帰り温泉利用券を使い、冷え切った足元の回復にへと向かうのでした。
こちらは、糠平温泉で初めて源泉を採掘された方によって開かれた宿をルーツに持つ歴史お宿さん。
温泉に対しては「湯に浸かれればそれでいい」という考えの私でしたが、旅の疲れもあってか大満喫。平日の昼間なのに、雪を見ながら露天風呂にいる非日常感に存分に耽り、愉快になるのでした。
お湯が汚れ、目撃した人に多大な精神的ダメージ
言葉選びが秀逸です。
最高
くつろぎ倒した結果、気が付けばバスの発車まであと少しの時間となりました。徘徊はしたものの、存分にぬかびらを楽しんだのでありました。
16:45 十勝バスぬかびら営業所停留所から帯広へ戻ります。夏にまた来たいなぁ。帰り道、朝よりも注意深く道路脇を眺めていると
険しい地形に鉄道を通すことがどれほど大変だったか、アーチ橋の多さが示しているような気がします。
今やその役目を終え、朽ちるのを待つばかりのアーチ橋。ですが、私のような物好きの心を動かすのは、建設に携わった方の汗水が染み込んだアーチ橋だからでしょう。そんな仕事をしていきたいと若輩ながら思ったところで今回の旅は終了。帯広駅に帰還、バスで空港へ向かい、帰路についたのでありました。
おまけ
いい旅の終わりとなりました。
おしまい。
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