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ラストランは釧網本線で
18:27発 釧網線 普通列車で本日の最終目的地 釧路を目指します。釧路直通の列車は1日5本。その中でも本列車は最終電車であります。
寂しさと照明の温かさが入り混じる独特の雰囲気。たまりません。
北見寄りから列車がやってきました。
雪に埋もれた駅に時刻通りにやってくる鉄道。その光景に不思議な感情を抱くのはどこか安心するからでしょうか。このままでは凍てついてしまう。そんな折に出くわしたストーブの温もりのような、それに似た感情でしょうか。
車内は7割ほどの乗車率。前回のオホーツク号同様、予想外の混雑で驚きました。列車は知床の玄関口 知床斜里駅までオホーツク海沿いをひた走るのですが、夜なので車窓は黒塗り。外国人観光客の会話と床下から聞こえるディーゼルの鈍い音が唯一の旅のお供であります。ちなみに沿線の様子がこちら
知床斜里駅で多くの乗客が下車。列車は東から南へ進路を変え、着実に道東を縦断していきます。車窓は変わらずの真っ暗闇。時折聞こえる列車の警笛から黒塗りの世界に潜む動物の営みを感じながらゆっくりと進んでいきます。
闇の駅
途中、川湯温泉駅で少し長めの停車時間がありました。
摩周湖と屈斜路湖の玄関口である本駅。以前こちらの温泉にお邪魔したことがありましたが、街中でも硫黄の香りがするような素敵な場所で、明朝訪れた摩周湖では雲海に囲まれ、非常に記憶に残る旅でありました。
北海道といえば、鮭を捕食する躍動感溢れる熊さんの置物が有名ですが、この子はとても大人しげ。
駅の灯りに安心感を覚えます。夜、コンビニが明るいのは、ヒトが無意識に安心を求めて集まってくることを狙って、というのを聞いたことがありますが、その感覚は分かる気がします。ただ、反対に目をやれば
北海道に来ると感じます。
人は自然界ではマイノリティであって、その営みは自然に囲まれている。
ということを
吹き付け、巻き上げる雪を一身に受けて釧路行最終列車は再び、雪原を駆けていきます。南下を続けると釧路湿原を通る区間がありますが、ここでも何度か警笛が聞こえました。我々がシカなどの野生動物の生活にお邪魔していたのでしょう。
思わぬところで自然と出会うことができる。それが北海道の魅力である気がします。そして網走から3時間 150km
夕陽の街 釧路
この釧路駅は、駅舎の建設に当たって地元の方と国鉄が協働し、駅内に商業施設を設けた民衆駅と呼ばれるちょっと変わった駅です。国鉄時代のこうした取り組みが、現在の駅ビルやエキナカの礎となり、JRの貴重な収入源となっています。
朝5時に稚内を発ち、途中に観光を挟みながらやって来ること18時間。これまで訪れたどの街よりも釧路は雪が少なく、気温もやや高く感じました。釧路を暖かい街と感じることになろうとは、東京で凍えていた日々が懐かしいです。
雪がない!なんと歩きやすいことか!
そういえば夕食を摂るのをすっかり忘れていました。せっかくなので釧路の繁華街を散策。別日に釧路を訪れた記録もありますので、参考にどうぞ。
散策の後、とある居酒屋(名前は失念)へ
心地よい気分になりながら、
「明日はタンチョウヅルを見に阿寒湖へ行くぞぉ!」
そんなことを考えていると、顔がニヤついていたのか、お店の方から声が掛かりました。
明日の観光の予定を伝えると、
阿寒湖よりも良いスポットがありますぞ
とのこと。その名も
地元のことは土地の人に聞くのが一番!予定を急遽変更し、最終日はそちらに向かうことに決めました。旅先の出会いは貴い。ありがとうございました!
明朝 鶴さんに会いに
釧路駅前から阿寒バスに乗り込みセンターへ向かいます。詳細なダイヤなどはこちらから。この路線を使えば、帰りに釧路駅へ戻ることも、空港から帰路に就くこともできるというすばらしいバス路線です。
釧路駅からバスに揺られること60分、センターに到着。館内は、タンチョウの生態やその保護活動を学べるスベースになっています。そして展示スペースを抜け、館外へ出ると
既にたくさんの砲列!
照準は、タンチョウたちに向けられておりました。
ではお待ちかね、彼らのファインダーの先に見える景色をご紹介しましょう。
ふ、ふつくしい
こちらを気にすることなく、生き生きとした姿で我々を楽しませてくれます。
さらに運が良ければ、キタキツネやオオワシとの共演を見られるんだそう。
雪原の舞台を見せられているようです。つい見とれてしまいます。
センター内には喫茶室があり、凍える心配をせずに存分に観測することができました。
昼前に到着したものの、夢中になるうちに気がつけば午後4時。そろそろ帰りの飛行機の時間が近づいてきました。
タンチョウヅルたちに別れを告げ、釧路空港へ向かうのでした。2泊3日、北の大地を堪能しました。北海道の冬は観光面でオフシーズンと言われますが、突き抜けた寒さに勝るほどの出会いがあったと感じます。皆さまもぜひ、試される大地を試してみてください。
おしまい
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