土合駅 上越線始発でゆく冬ならではのモグラ駅

関東

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湯檜曽駅 | ループ線を眺め国境のトンネルと一体になれる駅
前回はこちら 13:40 水上発 E217系 普通列車長岡行き 2022年1月8日(土)、水上から隣駅の湯檜曾(ゆびそ)駅を目指します。所要時間は5分程度。 沿線人口が少ない地域のため、列車の本数は両手で数えるほどです。...

本日は2022年1月9日(日)、上越国境の旅2日目です。

昨晩は仮眠を挟んだものの就寝は午前4時過ぎ。宿のチェックアウトは11時ですので、その気になれば存分に寝られます。ただ、スケジュール上、土合を訪問するとなれば7時に起きねばなりません。

睡眠と土合訪問を天秤にかけるも、いずれに傾くことはなく
こうなれば

 

「なるようになるさ」

 

と、気持ちも体も布団に丸投げ、床についたのでありました。

 

8:37発 普通列車 長岡行き

 

勝者土合駅でした。

 

後ろ髪を引かれつつ林屋旅館を後にし、駅へ向かいます。
昨日と変わり曇天の湯檜曾温泉街です。始発の下り列車で、お隣 土合駅を目指します。本日は、土合にて足腰を鍛えた後、バスにて水上に戻るという計画です。

始発も満員

18きっぷで混雑する上越線

乗客は旅人と登山客がほとんど

車内は都市部の地下鉄のような雰囲気ですが、長大トンネルを高速で駆けてゆくその爆音がこの場所が新清水トンネルなのだと教えてくれます。

土合駅のE127系

8:48 土合駅到着

湯檜曽から数分で土合駅到着。
10名近くが降車、ここが辺境の地であるという実感はあまり湧きません。そのほとんどが鉄ちゃんと登山客。

人波が途切れるのを待ち、トンネルに浸ることにします。

土合駅水上側

まずは水上方面

土合駅の通過線に設けられたホーム

同、水上方面

通過線を潰す形で右手のホームが新設されています。
かつては、速達列車の通過待ちなどに使われた線路も、普通列車が日に数本だけ走る現在は無用の存在。上越線の役割の変遷が分かるのがこの土合なのであります。

土合駅駅名標

こちらは長岡方面

土合駅長岡側

かつての通過線が現在の本線になっている

土合駅の消火器

消火器前のレール、何のために設けられているのでしょうか

土合駅の男性トイレ

ホーム中央部

碓氷峠の廃線ウォークでも見かけた非常用電話

併設の待合室に入ってみましょう。

土合駅の待合室

来訪者の交流の場となっている。

土合駅の時刻表

列車本数は、北海道の宗谷本線とそう変わらない。

土合駅圏外

昔は地下鉄も圏外でしたね。

土合駅の待合室壁面

有名駅は紙を貼られがち

釧網線北浜駅の待合室

こちらはオホーツク海を望む釧網線北浜駅

比較すると、土合の方が名刺のが少ないですね。来訪者の属性が違うのでしょうか。

この机は後述の階段を下ってきたとでも言うのでしょうか。

かような交流は各地でも見られますが、特にこの土合では熱心に行われています。
ゆえに、才能ある来訪者も多いようで

土合駅の駅ノート

2010年まで運行されていた急行能登。写真と見紛うクオリティです。

そしてノートを開いてみますと

 

 

いや、怖ェ~よ~

待合室の隣の部屋では

土合駅の特製ビール

土合駅活性化事業が進行中

モグラビールが熟成されておりました。

水は、大清水(おおしみず)でしょうか。
国境のトンネルを味覚でも楽しめる日が間もなくやってきます。

 

愛される462のステップ

食事では、美味しいものは最後に残すタイプの私。
ホーム周辺を存分に楽しんだところで、いよいよいきましょう。土合駅のアイデンティティ、462段の階段です。

土合駅の階段を望む

出口は、1つ

土合駅の462段

階段の壁を越えた先に

日本一のモグラ駅

バリアフリー?私には関係ありませんね

分かっていたとはいえ、やはり圧倒されます。
とはいえ、歩を進めるしかありません。イチローは以下のような言葉を残しています。

壁というのは、できる人にしかやってこない。
超えられる可能性がある人にしかやってこない。
だから、壁がある時はチャンスだと思っている。

特別なことをするために特別なことをするのではない。
特別なことをするために普段どおりの当たり前のことをする。

さぁ、いつものように1歩目を踏み出しますぞ

いち、に、さん、し・・・

土合駅の休憩用ベンチ

慣性に身を委ねるため、ベンチの誘惑も断ち切り

半分経過!乱れる呼吸をBGMに一気に行きますよ

土合ほど300mを正しく捉えられない場所もない

子どもの元気そのままに凄い勢いで往復していった親子

そして

つ、ついた。

登り始めておよそ10分。
遅刻ギリギリで滑り込んだ教室。あれに近い息苦しさと同時に、振り返れば

あの時と同じ達成感。苦労の甲斐がありました。

竣工は1967年(昭和42年)。今年で55歳ですか。

土合駅の通路

出口方面を望む。

中央の柱は、列車進入時に階段を上がって来る暴風を和らげるために設けられています。

階段側を振り返り

外が輝いて見えるのは、暗がりから来たせいか、それとも雪のせいか

有名な煽り案内

痛快です。

看板を裏側から

間違えれば絶望です。
上下のホームが離れた駅は多いでしょうけど、この土合は心理的に最も離れた駅と言えるのではないでしょうか。

平坦のありがたみを教えてくれる通路

空の青さを知る人になれる。

トドメの階段をやり過ごすと

駅コンコース

1985年(昭和62年)まで有人駅だった土合。
かつての駅事務室は喫茶 moguraになっていて、来訪者の憩いの場になっています。また、近年では駅近くにグランピング施設もオープンし、活況を呈しているようで、鉄向けのニッチなスポットから観光拠点に変貌を遂げている途上のようであります。

moguraは11時の開店に向けて準備真っ盛り

いずれはレトロ路線でも売り出せるんではないでしょうか

駅茶 モグラ (土合/カフェ)
★★★☆☆3.44 ■予算(昼):~¥999

そして、モグラ駅のもう一つの顔を見ておきましょう。

土合駅の上り線ホーム

水上、東京方面

当たり前だが、同じ駅とは思えない

上り線は、1931年に開通した区間。前述のモグラ駅とは35歳差でありますが、その差を感じることは難しいです。

写真は新潟方面を撮影したものですが、土合から数百メートル北上した場所(国道の踏切から坑口を望むことができます。)に、国境の長いトンネルとして著名な清水トンネルがあり、土合はまさに関東の最果ての駅でもあるのです。

改札を抜け、駅舎を見学します。

活気を取り戻す山小屋

土合駅駅舎内

土合駅。右手が喫茶mogura。無人駅だが賑わいに事欠かない。

シーズンには登山客が押し寄せたのだろうか

土合駅の自販機

自販機は暖を取ることを許してくれない

見どころの多い土合駅だが、この駅の存在意義はこの看板が良く表しています。

いよいよ谷川岳です

美しく、厳しい谷川岳

アクセスが至便で登山客の多い谷川岳ですが、気候が厳しく変動も目まぐるしく、多くの遭難死者を出しています。その数は世界ワースト1としてギネス登録されるほどなのだとか。

外に出てみましょう。

冬の土合駅駅舎

美味しいカレー、ラーメンに出会えそうな駅舎

山小屋を意識したデザイン。雰囲気がありますね。

駅から伸びる道は傾斜になっていて、足元には注意を要する。

駅前の国道まで来ると

山肌に突き刺さる土合駅

山肌に突き刺さる土合駅通路

先ほどの通路を外側から眺めることができます。

建造物としても面白い土合駅

階段以外にも意外と見どころがたくさんの土合駅。

私は1時間ほど時間を確保しましたが、駅舎に入る辺りから、駆け足でまわることに。ぜひ来訪の際は時間は多めに確保してください。心置きなく楽しめます。

9時35分発の関越交通バスで水上駅に舞い戻ります。が、

関越バス土合駅停留所

およ

バ、バス停に近づけない・・・

過ぎ去る車の運転手の視線を集めつつ、待っていると

関越交通バス水上駅行き

谷川岳ロープウェイ駅からのバスが定刻通りに到着

地元の方と思われる普段着の年配の男性、そして私の2人の乗客のため、バスは発車。
鉄道がトンネルでやり過ごす谷あいを、等高線をなぞるように下っていきます。揺られながら、窓外の雪景色を眺めるのも悪くありません。

そして、20分ほどで

上越線水上駅前

水上駅到着。

水上駅前の関越交通バス

折り返しのバス。真冬でも登山客が多いようだ

おしまい

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