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※2018年12月撮影
湖上に浮かぶ駅
第3の目的 奥大井湖上駅は尾盛から15分ほど。12:11に到着
映えるスポットとして、線内随一の乗降客数があり外国の旅行客なんかも多いようだ。位置はこのような場所だ。
大井川に張り出した半島状の陸地の上に駅がある。ここも前回の尾盛駅同様かなり特殊な駅となっている。その名の通り、長島ダムが生み出した接岨「湖」の「上」にあり、駅の外に出るためには、湖に架かる橋を線路伝いに渡っていかねばならない構造になっている。なんじゃそりゃ!
元々観光目的で設けられたため、一般的な駅とは一線を画した存在になっている。実際にその様子をご覧いただきたい
今来た尾盛方面の線路脇にぎりぎりすれ違える幅の通路が設けられている。言ってしまえばこの橋が駅前通りかつ駅から唯一の出口である。仮にこの鉄の板を踏みぬくようなことがあれば、ダム湖へ真っ逆である。駅前通りを進んでいくと、
トンネルの出口まで接近できる。なかなかの恐怖感だ。このトンネルの右脇に斜面を登れるように階段が設けられており、駅の外に出るためにはこれを越えていかねばならない。ただ、この階段が断崖に近い角度だ。動きやすい恰好をおすすめする。冬の一日とはいえ、汗ばんできた。ある程度登ると、湖上の線路を見渡せる場所がある。
左上に見えるのが奥大井湖上駅だ。周囲を接岨湖の湖水面に囲まれ、離島のような場所に所在している。この場所からさらに5分ほど登っていくと、井川線と並行する県道へ出ることができる。ここまでの案内等はしっかりしているので迷うことはないだろう。
その県道沿いには展望台があり、坂道で引き締まった足と共に、湖上駅を見下ろせるあの撮影スポットにたどり着くことができる。
駅を見下ろす絶景展望台
これは絶景。ネットで何度も見た光景ではあったが、リアルはそれ以上の迫力だ。ここまでの到達の難しさもあって、息を呑んで見とれてしまった。
山間の静寂の中、鉄橋を唸らせながら赤い列車が中空を駆けていく様子は何度も見たくなる眺めだ。
このように流路がヘアピンカーブを描き、深い谷を作っているような地形を穿入蛇行(せんにゅうだこう)というそうだ。国内ではこの大井川や四万十川に見られる特徴的な地形挙げられることも多い。その他海外でも同様な地形は見られ、
遠く離れた場所でも同じような浸食作用が見られる。当たり前だが興味深い。しばらく眼下を眺めながら、深く息を吸うなど山間の絶景を楽しんだ。ここから来た道を戻り、15分ほどかけて駅へ戻ってゆく。
ちなみに、湖上駅からは井川線の旧線跡を幾所で目にすることができる。鉄道好きにとっては一度で二度おいしいスポットとなっている。例えば駅から千頭駅方面を眺めてみると、
冬の渇水期ということもあり、旧線が綺麗に顔を出していた。かように、新旧のルートの位置関係がよくわかるのは面白い。また駅正面の斜面をよく見ると、
旧線の廃線から既に25年以上経っているが、とてもそんな風には見えないキレイな状態だ。廃線も存分に眺め尽くしたところで、そろそろ帰ることにする。
13:15 発の列車で、千頭駅を目指す。滞在時間は1時間だったが濃ゆい時間を過ごすことができた。
今回の旅を振り返っていると気付けば千頭駅へ。14:21着。ちなみに、千頭までの道のりだが、バスも利用することができる。井川線で1時間の行程だが、奥大井湖上駅の撮影スポット付近のバス停からバス利用をすると30分で戻ることができる。鉄道旅にこだわらなければ、検討しても良いかもしれない。
千頭と書いてせんずと読む
千頭駅では、おまけ程度に考えていたSL君たちと遭遇できた。トーマスは叶わずだったが、お馴染みのNo.6 パーシーとモブキャラ・・・と思っていたら08年公開の映画版に登場するSL D51がモデルの新キャラクターヒロというらしい。(失礼いたしました)と出会うことができた。子どもたちでも、ギョッとしてしまいそうなリアルすぎる顔たちである。
そして通常の機関車も!
説明不要の存在感だ。また、駅の金谷側には、
1897(明治30)年イギリス製。新潟県の旧国鉄赤谷線の東赤谷駅で用いられていたものを移設しきたものなのだとか。御年120歳ですか。恐れ入ります。
ご覧のような転車の光景もホームから眺めることができる。この千頭駅は見所満載。静かな街の中心にある広い構内。そこに響くドラフト音が要衝の雰囲気がありたまらない。盛りだくさんの1日だったが、ここから東京までの帰りの道のりもまた長い。後ろ髪を引かれるが、後にしようと思う。
千頭14:35発の普通列車で金谷へ。金谷 15:47着。そこから東海道線をひたすら東進し、東京へ戻ったのは夜になってからであった。大井川鐡道を存分に満喫した一日。楽しかった。
おしまい
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