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三次
これまた初見で読むことが難しい地名ではないでしょうか。正解は「みよし」。
国内に「みよし」市は三か所あって、
- 徳島県 三好市
- 愛知県 みよし市
そしてこちらの - 広島県 三次市
ですが、一番特徴的な表記となっています。そんな三次市は、中国地方のちょうどおへそのような場所に位置しています。広島市内から高速バスで1時間半ほどの場所。
出典:Yahoo地図
そして何よりも特徴的なのが、三方から集まってきた河川が一つに合流し、一つの川となって流れてく場所でもあります。
車によってたくさんのヒト・モノが運ばれる今日のように、かつては舟がその役割を担っていました。そのため、河川があるところ、とりわけ三次のように合流する場所は、今でいうジャンクションとインターチェンジを兼ね備えたような物流の要衝であったのです。
ちなみに地図内にある「マツダ三次試験場」。「三次試験」と誤読してくれと言わんばかりの名前です。
出典:Yahoo地図
西城川、馬洗川が江の川と合流して流れていきます。
ここで面白いのが、江の川の流れ行く先。三次市における人の移動先は、鉄道や高速道路で結ばれている広島市内かと思いますが、滔々と流れる水は、広島市方面の瀬戸内海側でなく、日本海側へ流れゆきます。山陽・山陰間の分水嶺が山陽側に押し込まれるようにして存在しているわけです。分水嶺が県境となることが多い国内において、珍しいケースではないかと思います。
そんなわけで、水運で栄えた街には、往時の古い街並みがすこーし残されているということで、見に行って参りました。
三次の街並み
ひっそりたたずむ古い街並み。場所はこのあたりになります。ちょうど西城川に沿うように、街並みが形成されておりました。
こちらは現役のようですが、あいにく休業日だった酒造会社さん。
物資の集散地として、酒造に必要なものが揃い、何より完成品を各地へ運び出すことができる三次の地は、お酒造りにもつてこいだったのではないでしょうか。
こちらは別の場所にある旧万寿之井酒造の酒造蔵。国の登録有形文化財です。こちらが使われなくなった後、一帯を地元の方が買い取ってカフェなどを開かれているとのこと。
煙突がある風景は、なぜかほっとしてしまいます。
落ち着く景色を至る所で目にすることができます。一方で
空き家もチラホラ見かけました。
帰り際、観光協会の方に、三次市の主産業を尋ねたのですが
「特にないです」
とショッキングなお返事をいただいてしまいました。かつての要衝は、その地の利を生かせずここまできてしまったのでしょうか。広島県三次から日本海側を目指します。
三江線の残影を見る
三次から50㎞ばかり北進してきました。このルールは、かつて三次と日本海側の島根県江津市を結んだJR三江線が走っていました。ただ、2018年3月末に廃線となってしまいました。
道中、当時の施設跡に各所で遭遇したわけですが、こちらもその1つ。粕淵駅跡。
商工会に併設された駅舎からは、少ない人数でも交通サービスを維持しようと考えを巡らせた地元の方の熱意が感じられます。場所はこのあたり
かつての姿がこちら
概ね当時の姿が残っています。かつては島式ホームだったということで、確かに写真右手にレールが敷かれてるかのようなホーム形状になっています。
100kmにもわたる長大路線でしたので、廃線間際にはファンで賑わったようですね。
ただ、鉄道紳士系Youtuber スーツ氏が、廃止が決定した三江線が置かれてい厳しい現状を鋭く皮肉を交えて捉えてくれていましたので、参考にどうぞ。
30㎞/hほどでゆったりと進む列車とドアツードアで高速で駆け抜ける自家用車や高速バスを比較して、その廃止の必然性を説かれています。
廃線は、その路線と紐づいた生活や思い出、街の外との繋がりが薄れる感覚がとても寂しい気持ちになります。こうなる前に手を打つことが必要なのでしょうが、時代の波は逆らう間もなくやって来るのかもしれません。
さてさて三江線とはここでお別れし、車で日本海側を目指します。
大田市駅
大田市(おおだし)駅を経由して
今日のメイン、島根県 温泉津温泉へ向かいます。
つづく
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